営業の実務
営業の失注分析はどう進める?

営業の失注分析の方法を学ぶなら、理由欄を埋める前に、案件が終了した根拠と説明の出どころをそろえましょう。営業インターンが社内レビューの準備をする場面を想定します。出典付きの説明以外は編集部の整理案で、例はすべて架空です。
失注した結果、相手が述べた理由、営業側の仮説を別々に記録し、確認できた理由だけを同じ基準で分類しましょう。不明や複数の理由を残したまま集計し、改善は自社で点検できる工程から選びます。理由を埋めるための再連絡は、顧客の希望と会社の手順を確認せず進めないでください。
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何を失注として振り返るか、先にそろえる
最初に、対象の期間、商品、案件の単位を担当者と決めてください。「今月終了した法人向けプランAの商談」のように、見直す記録の範囲を限定する案です。同じ顧客に複数の提案があるなら、会社数と案件数を混ぜず、どの提案の結果かを識別します。
HubSpotの公式資料では、取引の進行段階を表す「Deal stage」と、失注理由を記録する「Closed lost reason」を別の項目として説明しています。
出典:HubSpot「HubSpot’s default deal properties」(Deal activity。更新日:2026-09-09、確認日:2026-10-16)。
この記事でも、案件の結果と理由を分ける方法を提案します。返事がないだけの案件を、学生の判断で失注へ変更しないでください。会社が定めた終了基準と記録を確認し、状態が決まっていない案件は対象に入れてよいか相談します。
結果を確定する権限がなければ、現状と確認先を残すところまでにします。入力操作の確認は営業CRMの記録方法へ分け、ここでは終了した案件について何が分かるかを検討しましょう。
相手の説明・社内の記録・仮説を分ける
理由欄を読む前に、その言葉を誰が、いつ、どの資料へ残したかをたどります。顧客が説明した理由、営業担当が観察した出来事、担当者の解釈を別々に並べてください。「価格」とだけある記録には、元の発言やメールの参照先があるかを確認します。
顧客の説明が確認できても、「本人がそう説明した」と記録する範囲にとどめましょう。すべての事情を把握したと扱わず、聞いていない背景は未確認へ残します。営業担当からの伝聞なら、直接聞いた言葉のように引用符を付けないでください。
- 確認した結果:対象の提案を見送るとの返答を受けた
- 相手が述べた理由:今期の支出枠では決められない、という要旨
- 社内で確認した経過:費用の内訳を送った日は記録がある
- 未検証の仮説:費用の示し方が判断に影響したかもしれない
この四行は架空の記入例です。「予算の説明があった」から「値引きをすれば決まった」へ書き換えず、その推測には別の検証が必要な問いとして印を付けましょう。
四つの架空案件を、分類できる範囲で比べる
次は、同じ架空のサービスを提案した四案件の練習です。実在の顧客、学生、失注データではありません。会社の実際の分類項目を示すものでもないため、練習では表の判断だけを比べてください。
| 案件と残る記録 | 記入する理由 | 保留する判断 |
|---|---|---|
| A:見送り。予算枠が足りないとの返信 | 顧客説明は予算。返信の参照先を添える | 値下げなら購入したかは不明 |
| B:別サービスを選んだとの返信 | 他社選択。選んだ理由は未確認 | 性能や価格で負けたとは分類しない |
| C:返信なし。終了の確認もなし | 状態の確認待ち | 失注理由の集計へ入れるか担当者へ確認 |
| D:費用と移行作業の両方を理由に見送り | 顧客説明に二つの要因あり | 主な理由をどちらかへ勝手に決めない |
AとBを同じ「価格」にまとめないでください。Dについて一つしか選べない欄なら、責任者が定めた分類方法を聞き、元の説明も残します。必要な選択肢がないときは、適当に近い語を選ぶ前に入力方法を相談しましょう。
この練習の提出物は、理由を埋め切った表ではありません。A・B・Dは見送りが確認済み、Cは対象への採否が未確定、と説明できる表にしてください。

集計するときは、不明と複数回答を隠さない
先ほどの例で、見送りを確認できたA・B・Dの三件だけを仮に集計します。一案件につき一分類なら、Aは予算、Bは他社選択、Dは主理由未確定、と置く案です。分類の決め方を表の外にも記載し、Dを便宜的に予算へ寄せないようにします。
複数の要因を別々に数える方式なら、予算・費用はAとD、移行作業はD、他社選択はBです。この設定では、案件は三件、要因の記録は計四件になります。案件数と要因数の違いを示さず、すべてを足して失注件数と呼ばないでください。
比較する期間を変えたら、対象商品、終了基準、分類方式も同じかを見直します。未確認を除いて比率を出す案と、未確認を含む全件を示す案は、何を説明するか担当者へ相談して選びましょう。数字には母数と除外した対象を添えます。
三件の架空例から、現場全体の主要因や改善効果は判断しません。集計の考え方を確認する練習として扱い、率の分母を整理したいときは営業の成約率の計算も参照してください。
理由の分類から、確認する営業工程へ戻る
「予算」が付いたら値引きを試す、と直結させず、自社で確認できる工程へ問いを戻しましょう。対象人数をそろえて見積もったか、初期費用と継続費用を分けて説明したか、相手が提示した条件を提案へ反映したかを、元資料で点検する案です。
同じ予算の説明でも、見積もりの対象を誤った場合と、条件を正しく示したうえで見送られた場合は、次の仕事を分けます。前者は訂正の相談、後者は確認済みの条件を残す扱いです。成果が出なかったことだけを理由に、正しい説明を削る改善案にしないでください。
Bの他社選択なら、比較資料に根拠がなかった箇所は修正候補にできます。ただし、相手が何を重視して他社を選んだかは、その資料点検だけでは埋めず、未確認として残しましょう。
改善候補には「確認する工程」「見つかった相違」「試す変更」「見る記録」を書きます。価格や契約条件を変える提案と、説明資料の誤記を直す提案を混ぜず、それぞれの確認者へ渡してください。
理由を集めるためだけに、連絡を再開しない
分析欄が空いていても、連絡不要の意思を受けた相手へ理由を聞き直す前提にしません。まず、利用を許可された社内記録で確認できる範囲を整理します。新たな連絡が必要かどうかは、顧客の希望と会社の手順を担当者が確認してから判断してください。
振り返りのための質問を許可された場面でも、購入の再検討を迫る質問と混ぜない案です。たとえば「差し支えない範囲で、今回判断に使った条件を教えていただけますか」と尋ねる文案を責任者へ見せます。回答を控えられたら、理由未確認のままで記録を閉じてください。
断りを受けた直後の言葉と停止処理は、断られた時の対応を確認できます。本記事で作る社内の分析を、再勧誘の許可として使わないようにしましょう。
会議へ持ち込む資料も必要な相手へ限定し、個人の印象や根拠のない人物評は書かないでください。原文を残す保存先と、振り返り用に参照してよい範囲は勤務先へ確認します。
提出時は、分かったことと次の検証を一組にする
失注レビューの結びは、「営業力が足りなかった」ではなく、確認できた分類、分からない理由、次に点検する工程へ分ける案です。責任者が原記録へ戻れるよう、対象期間と案件の参照先も添えてください。
- 対象:何の案件を、どの終了基準で選んだか
- 確認済み:相手が述べた理由と、その出どころ
- 未確認:理由がない案件、複数の説明、解釈が割れた箇所
- 改善候補:自社の資料や説明で見つかった相違
- 次の作業:誰が何を確認し、どの時点で結果を見るか
今日の練習では、四案件から「そのまま書ける理由」「書いてはいけない推測」「担当者へ聞く分類方法」を一つずつ挙げましょう。その後、Aの費用資料を点検するという仮の作業を選び、何を見れば点検完了かを書いてください。
点検後は、資料の修正が終わったことと、受注の結果が変わったことを別々に記録します。検証していない因果関係は残さず、次のレビューでも確かめられる問いを引き継ぎましょう。