営業の実務を整える
営業のクレーム対応で最初にすること|学生の受付・記録・引き継ぎ

営業のクレーム対応の初動では、すべてをその場で解決しようとせず、安全と自分の担当範囲を確かめましょう。学生向けに、受付から責任者への引き継ぎまでの手順を提案します。
危険があれば安全を優先し、責任者や警備へ支援を求めてください。話を聞ける場面では、出来事と希望を分けて確認します。原因や補償を独断で決めず、確認済みの事実と未確認事項を担当者へ渡しましょう。
目次読みたい項目から確認できます
苦情の受付と、会社としての判断を分ける
営業のクレーム対応では、相手の話を受け止めることと、返金などを決定することを分けてください。最初の担当者だけで、原因や責任、補償内容まで結論を出そうとしないようにしましょう。
この記事は、営業インターンが最初に申し出を受けたときの確認手順を提案します。勤務先の責任者や相談窓口につなぐまでが対象です。個別の契約や法律上の責任を判定する記事ではありません。
勤務に入る前に、苦情の受付先、責任者を呼ぶ方法、自分に認められた説明の範囲を確認します。責任者が不在のときの連絡先も聞いておきましょう。接客を続けるか判断に迷う場合の交代手順も、併せて確認してください。
購入を勧めた際の「いりません」という辞退と、購入後の不具合や説明への苦情は分けて扱います。購入の辞退を受けたときの返答は、営業で断られた時の対応を参照してください。
安全に対応できる状態かを先に確かめる
暴力や身の危険を感じる場面では、聞き取りを続けることより安全を優先しましょう。距離を取り、勤務先の緊急手順に従って責任者や警備へ助けを求めてください。差し迫った危険があるなら、警察への通報など緊急対応をためらわないでください。
相手と二人だけの場所へ移動するよう求められても、自分だけで応じないようにしましょう。個人の連絡先を渡す、私物の端末でやり取りする、自分のお金で支払うといった対応もせず、組織の窓口へつなぎます。
厚生労働省委託事業のマニュアルは、カスタマーハラスメントへの対応について、上司や同僚との協力、判断が難しい場合の本社・本部との連携を示しています。
出典:厚生労働省委託事業「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(本文22〜24ページ(PDF24〜26ページ)。公表・更新日:2026年9月作成(日の記載なし)、確認日:2026-10-10)。
ここからの受付メモや文例は編集部の提案です。勤務先の安全手順を置き換えるものではありません。身の安全を確保できない場面に、落ち着いて話を続けることを求めるものでもありません。

起きたことと、希望していることを聞き分ける
話を聞ける状態なら、まず何が起きたという申し出なのかを確認しましょう。反論や説明を先に始めず、対象の商品・サービスと出来事を特定します。分からないことは、そのまま確認事項として残してください。
- 対象:商品名、契約や購入の日時など確認に必要な手掛かり
- 出来事:いつ、どこで、何があったという申し出か
- 現在の状態:何が使えない、何の説明が違うという話か
- 希望:説明、確認、交換など、何を求めているか
例えば「話が違う」と言われたら、「どのご案内と、今の状況が違っていましたか」と尋ねる方法があります。相手の希望も「何を確認してお伝えすればよいか」を整理するために聞いてください。
この段階では、話を聞いたことと事実を確認できたことを混ぜません。「お客様はこう話している」「資料ではこう記載されている」「まだ照合できていない」を別々に記録しましょう。不要な個人情報を広く集めず、勤務先の受付手順に沿って必要な項目を扱います。
おわびの言葉と、未確認の約束を分ける
不便を感じているという申し出には、その内容を受け止める言葉を選びましょう。一方で、確認していない原因を認めたり、自分に決定権のない返金を約束したりしないようにしてください。
次は編集部作成の仮の文例です。「ご不便を感じていらっしゃるとのこと、承りました。ご案内した内容と現在の状況を確認し、責任者へ引き継ぎます」。実際の勤務先で定められた表現があれば、それに合わせてください。
「私が必ず返金します」「今日中に直ります」といった返答を、確認前に付け足さないようにします。相手から結論を求められたら、「私の担当範囲では決定できないため、責任者に確認します」と、できることを示してください。
また、おわびをすれば対応が完了すると考えず、次の担当と連絡の方法を確認しましょう。自分の言い方が不正確だったと分かった場合は、説明した内容を隠さず責任者へ報告し、訂正の指示を受けてください。
責任者へ渡すメモは、発言と事実を分ける
引き継ぎは、相手の印象を評価する文章より、対応を続けるための情報を優先してください。「厳しい人だった」だけで終わらせず、どの申し出があり、どこまで確認したかを書きます。
次は仮の記入例です。実在の顧客や対応記録ではありません。「受付時刻:〔時刻〕。申し出:案内された料金と請求が違うとのこと。希望:内訳の説明。確認済み:持参された請求の対象月。未確認:申込時の条件。自分の返答:責任者へ確認すると伝えた」。
記録に加えるのは、確認に必要な事項だけにしましょう。勤務先が指定する保管先を使い、私用のノートや個人クラウドへ写さないでください。録音や写真の利用も、個人の判断で始めず、勤務先の手順を確認します。
引き継ぐ相手には、記録を渡しただけでなく、対応を受け持ったことを確認してください。引き継ぎ前に担当を離れる必要があるなら、誰が相手への案内を続けるのかを責任者と決めます。営業メモの取り方で、発言・事実・推測の書き分けも確認できます。
苦情を一律にカスタマーハラスメントと決めない
同マニュアルは、カスタマーハラスメントの判断に、言動の内容、手段・態様、従業員の就業環境への影響という観点を示しています。
出典:厚生労働省委託事業「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(本文22〜24ページ(PDF24〜26ページ)。公表・更新日:2026年9月作成(日の記載なし)、確認日:2026-10-10)。
苦情があったという理由だけで、相手をカスタマーハラスメントと断定しないようにしましょう。商品の不具合や説明の不足については、勤務先の責任者へ事実確認を依頼します。
同時に、申し出の中に確認すべき点があることと、危険な言動に耐え続けることは分けて考えてください。怖さや対応の限界を感じたら、法的な名称を自分で決めてからでなく、その状況を責任者に伝えて交代や支援を求めましょう。
相手への反論で決着をつけようとせず、発言、行為、対応時間、周囲への影響など、確認できたことを記録します。誇張して報告したり、逆に助けが必要な状況を軽く見せたりしないようにしてください。
勤務先から、我慢して一人で対応し続けるよう求められて困る場合も、別の上司や社内相談窓口へ相談することを検討してください。危険な場面での安全確保を後回しにしないでください。
対応後は、次の連絡と自分の状態を確認する
責任者へつないだ後は、誰が、何を、いつ確認する予定なのかを整理しましょう。返答期限が決まった場合は、その期限を担当者と共有します。まだ決まっていない予定を、自分で確定して相手へ伝えないようにしてください。
自分が追加で確認すべき資料や記録があれば、担当者の指示に沿って対応します。引き継いだ後に個人の判断で別の説明を加え、連絡窓口を増やさないようにしましょう。
対応で強い負担を感じた場合は、休憩や担当交代が必要なことを責任者へ伝えてください。原因を自分の性格だけに決めず、案内資料、権限、呼び出し方法のどこで困ったかを整理します。
次の勤務前には、責任者への連絡方法と、自分で回答してよい範囲をもう一度読み合わせましょう。まず準備するのは、上手な謝罪の台本より、困ったときにつなぐ相手と、事実を残す受付メモです。